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今回はアクアリウムによく用いられる2灯式蛍光灯とクリスタルエリート14改、クリスタルエリート40とを比較いたします。 前回と同じ条件です。 クリスタルエリート14改・クリスタルエリート40の照明器具には カミハタ【ネオアーム】を使用しての数値になります。

この差には驚きますが、真面目に測定した数値であると一応申し上げておきます。
注意して頂きたいのは光源の位置や距離あるいは角度によってかなり異なる数値となります。また、同じ消費電力のLED照明がこれに当てはまるかというとそうではありません。ライト各々によってチップやレンズが異なり光の分布状態は全く違ってきます。

こうして見ると高輝度ハイパワーLED【クリスタルエリート14改】がコストパフォーマンスの面で一番優れているようにも見えますが、これはあくまで60cm水槽(巾60cm 奥行30cm 高さ36cm)の場合です。
90cm以上の大きな水槽で奥行45cm 高さ45cm以上の場合は高輝度ハイパワーLED【クリスタルエリート40】の方を強くお勧めいたします。(製品寿命に関してもクリスタルエリート40が最も優れています。)

蛍光灯やメタルハライドとの違いの一つに、クリスタルエリートシリーズは直接光が多く間接光が少ないということがあります。
間接光とは対象物ではなく周囲の壁面に当たって反射して目に入ってくる光のことを指します。
一般家庭向けの室内照明の分野においては室内全体を明るく照らす必要性から広角で、天井や壁にまで光を広げるように配慮がなされています。照明分野の一部企業では間接光のみによる照度値を明るさ感評価に導入しようという働きもあります。
(間接光と直接光のわかりやすい解説は→ 
http://www.tlt.co.jp/tlt/press_release/p111027_1/p111027_1.htm )
ただアクアリウムにおいては水草やサンゴ・イソギンチャクなどの生育を楽しむこともその目的の一つになりますので、対象物に直接照射される光の数値が最も重要になってくることと思われます。

光に関する単位はいくつかあります。最も一般的に耳にするルクスは人の目にどれだけ明るく感じられるかという点で補正されている数値ですが概ねこの数値で判断して構いません。(青色や赤色LEDなどはこの限りではありません)
今回見慣れない単位を掲載しております。
μmol m-2 s-1
これは光量子束密度を表す単位です。光合成分野の研究でも使われています。今回測定したのは光合成光量子束密度(PPFD 400nm-700nm)の値です。
真夏の直射日光が2000μmol m-2 s-1 、室内の人工光下、頭の高さでは10 μmol m-2 s-1  前後、太陽の間接光のみの室内は10~1 μmol m-2 s-1  前後、本日の新潟県・降雪の最中では240 μmol m-2 s-1  (思ったより明るいですね....雲の量や天候、降雪降雨の度合いによっても大きく異なります)です。
2灯式蛍光灯は怠けて測っていませんが20~40くらいの値になると思われます。
これもやはり人工光の場合、光源からの距離や位置、あるいは光源のレンズ種類・特性などにもよって全く違ってきます。
ルクスと同じく、距離の二乗に反比例して数値は小さくなります。レンズも人が作る物である以上、個々で設計が異なり配光分布も大きく違ってきます。
単位を読み解くときはどのような条件で測定されたのか、どの位置においてその数値になったのかを意識することが必要です。
アクアリウムに関しても時々みかける単位ですのでどの程度なものかを想像していただくために掲載いたしました。 

*クリスタルエリート24シリーズに関しても概ねクリスタルエリート14改と同じような照度分布になります。
*図の数値は全て実測値です。分かりやすくするため端数は切り捨てています。

ときどき寄せられる質問があります。


Q.LEDを使うと水草の葉が白っぽくなると聞きますがホントですか?

A1.水草の葉が白っぽくなる(緑が薄くなる)のは植物の栄養素が不足しているのが主たる原因です。ソイル等を新しいものに交換してください。
A2.植物には光が強すぎると、光を吸収する色素の量を減少させる働きを持っています。新しいソイルを使用していて、適正な二酸化炭素の添加を行っているのに、明らかに本来緑になるべき葉が白くなる場合はライトを少し離すなどをして光を弱めてください。

恐らくライトを代え明るくなったことで色が薄く見えたことも理由なのではないかと推測します。(暗いと色が濃く見えます。人の目・脳の感じ方の問題です。) LEDは新しい光源ですが思っているより特殊な光ではありません。既に普及して何気なく使っている3波長形蛍光灯の方がスペクトル的によほど不自然なカタチの光源だと思うのですが(それでも植物はその環境に適応しようとします。)


Q.LEDの光の波長の分布状態からすると光合成に向かないような気がするのですが?

A.よく光合成に関するグラフとLEDやメタルハライドなどの光の波長分布のグラフを重ね合わせて、一見非常に効果があるように思わせるようなアピールがされていることがあります。しかしその二つはそもそも縦軸が異なる単位であったりするので、はっきり申し上げて意味がありません。

まず光合成とは、おおざっぱかつ簡単に申しますと、光合成色素が光の玉を1個ぱくっと受けることで反応が始まります。たくさんの光の玉、光量子を受ければそれだけ光合成は盛んになります。光の玉の数が関係するわけです。が、波長分布のグラフは、「エネルギー比」を表しています、「光の個数」を表してはいません。吸収されやすい青色と赤色の光を比べると、青色の方が光量子1個あたりのエネルギーは高く、赤色の方が光量子1個あたりのエネルギーは低いです。しかし両方ともエネルギーの差には関係なく1個は1個として光合成の反応が進みます。エネルギーの量は関係ないのです。
青色と赤色の光の吸収効率は非常に良く、100%近い値になります。つまり青色赤色の波長を多く含む光の方が、同じ電力で発生するそうでない光よりも効率が良いということです。ただし、例えば緑色の波長が全く光合成に利用されないわけではありません。緑色の光も80%は吸収されて光合成に利用されています。つまり効率が「すごく良い」か、「それなりに良い」かの問題です。
なので太陽光と非常に近い波長をもつとされるメタルハライドだろうが蛍光灯だろうがLEDだろうが問題なく光合成はなされます。メタルハライドの利点は演色性が良い点です。ここには現時点でLEDはかないません。(高演色のLEDも存在しますが、それらは10lm/W~40lm/Wと、発光効率はまだ良くありません)
以上はすごく大雑把な解説で、厳密に言うと正確ではないところもあるかと存じます。

昨今のアクアリウム業界は自ら作り上げた"信仰"を微妙に方向修正しつつあるように見えます。